先生になるとすぐに現場での実践力と即戦力が求められます。対応を間違えると些細な言葉や態度で火だねとなっていまいます。そうならないように、教採受験者だけでなく、新採の方もぜひ参考にしてください。
教員採用試験では、「場面指導」が試験内容に含まれている自治体があります。場面指導は人物評価ですので、教採では大きな得点源となります。今回は、その場面指導で合格点をもらうために、具体的な回答例を踏まえたポイントや、準備しておくことを紹介します。
場面指導で評価されるあなたの即戦力・実践力
教員採用試験の面接試験は、一般的な就職試験とは大きく異なります。教採の面接で、最も重要視されているのは「あなたが実践的な指導力が備わっているか」です。
実際に現場に出るとさまざまな問題が起きます。その時にしっかりと対応ができる人物かを見極めるのが場面指導です。
面接官に「この人なら教員として立派に対応できる!」と思われる回答ができれば良いのです。
あなたなら、このような場面に遭遇したときどう対応しますか?
面接官は上のように問いを投げかけてきます。問いに対し、「私は~~のように対応します。」とはっきり、そして堂々と回答できるようにしましょう。
場面指導は3パターンある
場面指導には3つのパターンがあります。あなたが受験する自治体はどの場面指導のパターンでしょうか。
場面指導の対策のきほん
まずは、受験する自治体の過去問を分析します。見るべきポイントは、場面指導の出題形式と実際に出されてきた課題です。
わたしのこの記事を読んでいただければ、大まかな対策の仕方や勉強方法はおわかりいただけると思います。ただ、1冊は参考書を買い、場面ごとの基本的な対応を知ると効率的に学習できます。
場面指導対策専用のノートを準備し、テーマごとに対策やポイントを書き溜めていくと良いです。
場面指導で意識するポイント
筆記試験以外の面接官を相手にする試験では「堂々とした落ち着きのある姿勢」のある方が合格しています。場面指導では、保護者に対して対応するものと、生徒に対して指導・対応するものがあります。
保護者の対応の場合、何を言われても落ち着いて堂々と受け答えをする姿勢が大切です。生徒対応の場合は、生徒の立場や気持ちに寄り添って受け答えをすることを心がけます。
場面指導では、基本の対応の流れを覚えておけば、どんな状況でも堂々と対応できます。また、実際の現場に入ってからも流れは同じです。詳しく以下で、対応の流れを説明していますので、順々に理解しておいてください。
保護者対応では、落ち着きと安心感のある対応
保護者は電話、もしくは学校への来訪で対応する場面が出てきます。多くは電話口ですが、どちらにしても保護者対応の流れは決まっています。
①の事実確認は、とても大切です。5W1Hを漏らさず聞き取るようにします。「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「なぜ」「どのように」を確認します。
②の傾聴では、保護者が事の発端に対して、怒りの連絡を掛けてくることもあれば、泣きそうになりながら掛けてくることもあります。場合によっては、①と②を同時進行で行う必要があります。「傾聴」段階では、こちらから質問をするのは控え、まずは保護者が話しきるまで相づちのみにします。
③の不安を取り除く段階では、事情がわかった段階で、保護者が安心できるような声掛けを行います。これは、決まった台詞などはありませんので、事実確認の時点でどのように話を展開していくか考えておく必要があります。また、こちらの注意不足で招いたことであれば謝罪をします。
④では、今後の方向性を示します。明日以降も学校へ通ってこられるように、配慮対応をすることなどや、周囲の先生と連携する旨など、事情によって次のステップを話します。デリケートな話の場合は「すぐに学年主任と共有し、方向性を決めてから再度本日中に連絡させてください」と一度置くこともあります。
⑤は、最後に保護者との別れ際の台詞です。「ご報告いただきまして、本当にありがとうございました」と伝えましょう。感謝プラスアルファで、次の連絡の日時や、明日の生徒への接し方を再度添えられると安心感を与えられるでしょう。
生徒対応では、生徒の気持ちを汲んで対応
生徒対応(生徒指導)の場合も、基本の流れは決まっています。行動をした本心や背景を探り、生徒の成長を促すのが先生の仕事だと思っています。②と③は特に丁寧に行う必要があります。
①段階では、生徒が悪さをしているのであれば、まず「行動を止める」よう声掛けをします。ただ、ここで怒鳴ったり、クラス全員が怖がるような声掛けをしたりするのはNGです。何をしているかに寄りますが、できれば生徒のそばまで行き、冷静に声を掛けます。
②では、事実確認を行います。いじめや授業妨害であれば、どんな経緯で行われたのか、関わっている他の生徒がいるのか、など詳しく聞きます。事実確認は、放課後や休み時間を使用して、その子と落ち着いて話せる場所で行うようにします。
事実確認は、一人で行わず、複数教員で行うのが良いとされています。事実確認の前にまずは学年主任・生徒指導担当・教頭先生など、情報共有すべき人にしっかりと対応の手順を確認しておく必要があります。そのあとに誰が、どの生徒の聞き取りをするかなどの方向性を決めます。
③は、生徒の心の理解をします。行動を起こしてしまった「背景」を理解し、今後の対策を一緒に考えてあげます。家庭環境によることなのか、ストレス発散のためだったのか、その子の考え方のクセが招いたことだったのか…原因を突き止めることが次の予防策、そしてその子の成長のために大切です。
原因を突き止めたら、今後どうしていきたいかを結論まで持って行きます。誰かに「謝る」ことが必要なのか、今後起こらないようにどうしたらいいかなど、自分で考えて行動できるように足りない考え方があれば教えてあげます。
④生徒への指導が終わったら、必ず保護者への連絡をします。生徒指導が2~3日にわたる場合は、逐一指導の経過を保護者へ報告をします。
場面指導の例題12選
保護者対応の例題
(1)体育祭(運動会)で、生徒Aの保護者が熱中症対策としてポカリスエットを無断で持たせていた。それが他のクラスメイトにばれ、責められ泣いてしまった。あなたはそのクラスの担任です。どのように対応しますか?
(2)「上履きを踏んでいることを注意された、と息子が泣きながら帰宅した。いったいどんな指導をしたのか説明してほしい」と保護者から電話が掛かってきた。あなたは、どのように対応しますか?
(3)保護者会で、「あなたのクラスの宿題の量が多すぎる」と保護者Aが話題に出してきた。隣のクラスでは、量が少ないという噂も聞いているようだ。あなたは、どのように対応しますか?
(4)生徒Aの保護者から電話が掛かってきた。「昨日生徒Bに怪我をされて、休んでいる。でも、今日生徒Bは普通に登校していると聞いた。うちの子は休んでいるのになぜ平気で登校しているのか」と生徒Aの保護者は言っています。あなたなら、どのように対応しますか?
(5)「生徒Aちゃんが、いつも授業中うるさくしていて、そのたびに指導の時間で授業が遅れていると聞いた。なんとかならないのか」と生徒Bの保護者から電話で連絡が入った。あなたなら、どうのように対応しますか?
(6)朝、保護者から「子どもが学校へ行きたくないと言っている」と電話がありました。あなたは、どのように対応しますか?
児童・生徒対応の例題
(7)あなたの授業中に寝ている生徒がいます。どのように対応しますか?
(8)授業中に落ち着きがなく、キョロキョロしたり、他の児童生徒に話しかけたりする生徒Aがいます。あなたなら、どのように対応しますか?
(9)体育祭(運動会)の直前1週間前ですが、体操服を持ってこない生徒がいます。あなたなら、どのように対応しますか?
(10)生徒Aが給食帽子をかぶらずに給食をよそったため、何人かが給食を食べることを拒否しました。あなたなら、どのように対応しますか?
(11)あなたが担当している授業中に、生徒の携帯電話が鳴りました。あなたなら、どのように対応しますか?
(12)始業式の日に茶髪で登校してきた生徒がいました。校門でそれを見つけたあなたは、どのように対応しますか?
場面指導で持っておきたい選りすぐりの1冊
まだまだ場面指導が苦手もしくは、これから対策に入る方には、学習用参考書を持参しておくことをすすめます。この参考書で、頻出のテーマを学習し、対応策を練っておきましょう。
まとめ
実際の現場でも大切なことですが、まずは「相手の話をしっかり丁寧に聞く」姿勢を持ちましょう。
あなたの聞いている姿勢は、ちゃんと生徒や保護者に伝わるでしょうか。そんな目線でしっかり場面指導の対策をしていくと合格への一歩になると思います。
試験は試験の対策が必要なのは事実ですが、合格した先の自分がどうなっていたいか。どんな先生になれればいいか・・・など、試験にとどまらず「自分が良き先生となるため!」と思いながらしっかり対策を進めましょうね!