はじめて異動調書を書く方は「何を書けば良いの?」と戸惑いますよね?
私もそのひとりでした…!異動経験から確実に伝えておいてほしいことや、後悔しない異動調書の書き方のポイントをお伝えします♪
前提として、自治体によって「異動調書」の形式は異なります!そのため、記載の仕方は先輩教員に聞いてしまうのが確実ですので、そこはタイミングを見て「ここってどう書けばいいでしょうか?」と伺ってみましょう。
元教員の経験と、同時に「理想の人事異動」を叶えてきた私から、人事異動面談や、管理職にアピールしておいて損のないことなどを中心にお伝えしていきます。
先生たちの人事異動事情
まずは、はじめて人事異動をご経験される方もいらっしゃると思いますので、先生たちの人事異動がどう行われるかの概要から説明します!
人事異動のきほん
異動については、大きく組織としての都合と、個人的な都合に分かれます。
学校間での教科・科目や、部活動指導顧問等の人員調整などは組織(学校・教育委員会)の都合に入ります。組織都合の場合は、自宅から遠い勤務校になる場合もあります。
学校ではある程度年齢等考慮して、教職員異動も調整されていますが、突然退職される方・休職に入る方もいらっしゃいます。そのための欠員補充が入ることがあるのです。
また、地域によっては児童生徒の増減に伴う、必要な教職員数の増減に対応する必要もあります。たとえば、ある中学校で生徒数が増えることで、前年よりクラスが1つ増える場合には担任も1人追加しなければいけません。
「へき地勤務」とは、山間部や離島などの通勤による教員負担が大きいところでの勤務のことです。多くの自治体ではキャリアの中での平等を担保するため、考慮して人事異動がなされます。あなたの自治体でも、在職勤務期間中のへき地校での勤務の経験を原則とするなどの規則があるかもしれません。
へき地勤務は、通勤負担は大きいですが、クラス数が少ないことや、自校給食のケースも多いこと、へき地勤務手当が毎月支給されることをメリットと捉えて希望される方もいるようです!
もしご自身の自治体の人事異動の方針が知りたければ…
◯◯教育委員会 人事異動方針
と検索してみましょう!
おおむね10〜11月に異動希望調査がある
個人の希望は、毎年10〜11月頃(自治体によっては12月まで)に「異動調書」という書面での形と、校長の面談という対面での形で実施されます。
調書を学校長に直接提出した後に、ご本人の意向確認がされます。伝えるべきこと・伝えたいことはここで全て伝えましょう!
異動をそもそも希望するのか?するとしたら勤務希望の地区・校種・業務等が尋ねられます。
あなたは異動を希望しますか?
たとえば、以下の内容を伝えることができます。本人の希望は尊重されることとされているので、ご自身で抱えている悩みは正直にこのタイミングで話しましょう!(必ずしも通るわけではないですが、話して解決するのであればその方が良い場合もあります)
全員個々人の希望を叶えていては、学校ごとに年齢や男女構成、教科構成が偏ってしまうためもちろんあなたの希望が必ず叶う保証はありませんが、伝えておくと考慮してくれることが多いです。
昇進による異動の場合
教員組織でいう「管理職」は、教頭(副校長)・校長になることです。※自治体によっては教頭がない場合があります。
詳細な基準は各教育委員会によって異なる部分ですが、多くは管理職(昇進)試験を合格した先生だけが任命となります。また、学校から教育委員会へ異動してから管理職になるケースも多く、そうして現場を離れてその後は出世ルートの先生もいます。
以下は、東京都教育委員会が公開している任用制度になります。教育管理職試験に合格し、最短で昇任した場合です。ぜひ今後のキャリアプランの参考にしてみてください。
参考:東京都教育委員会HP
校長が判断、教育委員会が任命
以上のような個人的・組織的な異動要因を考慮した上で、教員の配置を決定していくのが教育委員会です。
校長は、教員に対しての調査書や面談内容を踏まえた上で、教育委員会との調整を行っていきます。つまり、校長は、誰を異動させるか(誰が異動するか)までの判断を行い、どこに異動させるか(どこに異動するか)は教育委員会の判断で決められます。
異動調書の書き方のポイント
異動調書に書く基本内容
異動の個人調書の記入が毎年秋口に校長先生から依頼があります。書式や形式は、自治体ごとで異なりますが記入する基本的な内容はあまり違いはありません。
特に「来年度の異動希望とその理由」は、もしあなたが若手・新人教員で年配の校長先生に言いづらいとしても決意を持ってしっかり伝える場であるため、きちんとはっきり伝えましょう!
ここだけの話、校長先生の権力によってあなたの異動が叶えられるかが左右される自治体もあります。私は引きが強かったのか、教育委員会上がりの権力強めの校長先生に「わがままかな…」と思いつつはっきりと伝えたら、次の年希望通りになりました!
また、家庭事情で働く時間が限られそうな場合はきちんと丁寧に伝えましょう。具体的にはご家族の介護や、看病、育児等は、来年度の勤務時間の制限や全教員への周知をして働きやすくする等の配慮がされます。
教員の退職を検討しているケース
もし先生自体を辞めたい、退職したいと考えている場合は、可能であればこのタイミングで伝えるのがベストです!
詳しく退職ステップを確認したい方は、以下記事で説明していますので確認してみてください。
調書・面談が終わったら「内々示」
内々示〜内示まで
個人の異動調書および校長先生との面談が終了したら、次は内々示のステップに入ります。全員の教職員との面談が終了してから、早ければ3月初旬〜3月第2週目に「内々示」があります。
なお、本人への内々示の直前まで、校長先生も人事に関する一切の情報は漏らしてはいけないことになっています。
本人だけに来年度の異動先・異動地区が打ち明けられること
→3月の第3週目、「内示」(来年度の勤務先学校名の伝達)の前に行われるもの
内々示を受けて強く変更希望をする教職員がいた際には、別の教職員に影響があり、変更される可能性もあるようです。そのため、内々示の翌週以降あたりから始まる「内示」が確定情報と思っておくといいですね。ただ、私は「内々示」から変更になったことは一度もありませんでした。
3月第4週を目処に校内発表
ドキドキの校内発表
私は月ごと定例の職員会議終了後に、来年度の異動発表がなされていました!一斉にA4用紙の紙が配られ、◯◯先生→退職、◯◯先生→△△学校へ等と異動情報が記されています。
「ええええ!◯◯先生!!!」と職員室の中で先生たちの声が響き渡る瞬間ですね笑
自分だけは内示で来年度の異動がわかっている状態ですが、もし新しい学年を持つのであれば主任はだれか?他のクラス担任はだれか?の確認ができますよね。他にも、他の学校へ異動するのであれば「引き継ぎ」がありますので、誰に校務分掌の引き継ぎをしなきゃいけないかも目処が経ちます。校内発表から、新年度まで時間はないので、引き継ぎが必要な先生や引っ越し検討している先生はすぐに準備をしましょう!
異動がある方が準備しておくべきこと
まずは全教職員に該当するのは、今年度(3月31日まで)の「出勤・勤務の処理」です。有給消化や印鑑が必要な書類は確実に終わらせておきましょう。
担任をお持ちの先生や、校務分掌で印鑑が必要な公簿系もきちんと確認しておきましょう。ここで書類の不備があり、新年度にまた学校に顔を出すのは恥ずかしいのと面倒なので辞めましょう!
引っ越しを検討しているのであれば、事務の方と早めに連携して必要書類の確認をしましょう。事務の先生は異動情報が校長先生から早く伝わっているケースが大半です。安心して、頼ってしまいましょう!
あとは、荷物ですね。教室・机・ロッカー・部室等の鍵の返却と、学校で借りている備品の返却も忘れずにしましょう。ご自身が使っていたスペースの整理と、次の学校へ持っていく荷物は早めにまとめておきましょう。
・出勤/勤務の処理(有給消化や印鑑が必要な書類の整理)
・公簿の記入や押印の確認
・引っ越しの準備
・事務の方と早めに連携して必要書類の確認
・荷物と鍵、備品の確認(教室/机/ロッカー/部室)
よくある誤解
よく聞かれる、よくある誤解をズバッと解決
- Q優秀な先生は長く同じ学校にいるんですか?
- A
優秀な先生であれば、長く同じ学校にいるという説は間違いです。ただ地域の指定された研究校に異動になることはあります。
- Q先生と学校側がお互い満足していれば、次も同じ学校での勤務になりますか?
- A
いいえ。基本的に同一学校勤務は本人と学校がうまくいっているかは関係ありません。一定の年数が経過した先生は基本異動となります。
異動年数基準は、各教育委員会によって異なります。たとえば1校目(初任校)が3年、2校目以降は5年や8年等とされているケースが多いです。つまり、初任校は早めに異動することになっている自治体が多くあります。
※まれに例外的処置として、初任校で3年以上いるケースもあるようです。
まとめ
教員の人事異動について、流れや基本的な流れはご理解いただけたでしょうか?
3月の内々示から新年度まではあっという間に来ます。ご自身が異動するのであれば、早めに新年度の準備を着々と進めていきましょう。