中学校教員の部活動の実態-「顧問は拒否できる?」

部活動
いとこん先生
いとこん先生

元中学校教員が、実際の経験から事実をお伝えします!

少しでもみなさんの疑問が解消されることを祈っています。

この記事で解決できること
  • 「教員になりたいけれど、部活動は負担が大きそうで、不安…」
  • 「担当する部活動の顧問はどうやって決まっているの?」
  • 「部活動の顧問は拒否できるの?」
  • 「教員になったけど、部活動やりたくない…どうしよう」

私の周りにも「部活したくて先生になったわけじゃないのに…」と悲しい顔で、毎日体育館へ行き朝練、放課後練、そして土日に生徒と汗をかく同僚もいました。それに私もその1員でありました。

実際に「顧問拒否」というと、「あの人は仕事から逃げている」と言われかねませんし、周囲の先生との関係も悪くなるのは目に見えますよね。そこで、現実的にどう対処すればいいのかの提案と、本当にこの方法で部活動に顔出しさえしなくてもOKとなった同僚がいましたので、参考にしてください

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部活動の位置づけ

部活動は、学習指導要領の中で「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」と記載されています。

中学校学習指導要領(平成29年3月改定、平成33年度全面実施) ー抜粋ー

 1 教育課程の改善と学校評価、教育課程外の活動との連携等

  ウ 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるように留意すること。その際、学校や地域の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い、持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。

「中学校学習指導要領」 第1章 総則 第5 学校運営上の留意事項
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm

顧問を担当する部活動によって、責任・負担は変わる

部活には「運動系」と「文化系」の2種類があります。吹奏楽のように、ほぼ「運動系」に属すような部活動もありますが、どちらを任されるかによって日常の部活動にとられる時間が変わってきます。

実際「若い人は体力がある」という理由で、若手教員はよほどの理由がない限り、運動部の顧問を任されます。私も、初任時代はテニス部の顧問と夏に集中的に行う駅伝部の両方を担いました。

中学校部活動の活動状況

○中学校の1週間の活動時間は、平日で2時間程度、休日で3時間前後

○1週間に休養日を設けていない中学校の割合は22.4%。また、1ヶ月に土日に休養日を設けていない中学校の割合は42.6%

スポーツ庁「運動部活動の現状について」(平成29年5月)https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/08/17/1386194_02.pdf

スポーツ庁の調べのように、私も平日で最低2時間、休日は3時間~4時間は部活動で時間をとられていました。

時代が進んできて、近年は、自治体で「1週間に2日間の休養日を設けること」と義務づけているところもあります。

運動部活動を担当する教員の競技経験

○担当教科が保健体育ではなく、かつ、担当部活動の競技の経験がない教員の割合は、中学校で45.9%、高等学校で40.9%

スポーツ庁「運動部活動の現状について」(平成29年5月)https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/08/17/1386194_02.pdf

私は5年間の教員生活の中で、すべて経験のない顧問を担当してきました。

たとえ競技経験があったとしても、「指導できるかどうか」はまた別の問題だと思います。そのため、指導責任ものしかかってきますので、大会が近づくとそのプレッシャーにおされていましたね。

どの部活動を担当するかは最終的に管理職の判断となります。ある程度自分の希望は考慮はされますが、あまり期待できないのも事実です。年功序列が強い教員社会では、年配の方が優先なのです。

拒否したくても、やらざるを得ないのが現状

先生たちを苦しめている暗黙の了解「全員顧問制」

私が教員をしているときに、「部活動を任されていない」という同僚の話は一度も聞いたことがありませんでした。「全員顧問制」が基本もしくは、暗黙の了解でした。

中学校教諭の部活動に係わる勤務状況

○中学校では、教員全員が部活動の顧問に当たることを原則としている学校の割合が87.5%

○中学校教員の1週間における学内勤務時間は、部活動の活動日数が多いほど長い

スポーツ庁「運動部活動の現状について」(平成29年5月

特に小さい学校に配属になった先生は、もしかしたら先生の人数も少ないため、全員顧問制は強く影響するかと思います。

部活から距離をとりたい人のための「現実的な対処法」

本当にやりたくない人は、その旨をしっかりと校長先生に伝えることが必要だと思います。ただ、全面的に「やりたくない!」では、ただの頑固者に思われてしまいます。

校務分掌の○○を主としてやっていきますので、部活動は副顧問という位置づけで負担を軽減させてください。

というように話をすれば分かってくれるでしょう。実際に、この方法で次年度の部活負担を和らげている方がいたのは事実です。

club

この方法が、どの学校でもどの校長先生でも通用するわけではありません。自分が担当できる校務分掌の仕事があるかもしれないと思ったら、試しに言ってみることで状況が変わる可能性があります。

まずは校務分掌一覧を見て、自分にできそうな仕事があった場合もしくはすでに大きな校務分掌を担っている場合は、積極的にチャレンジしてみることをおすすめします。

まとめ

部活動は、生徒たちと触れ合える貴重なものであることは確かです。ただ、その部活動が一定の教員を苦しめているのも事実です。(中には部活大好きな先生もいらっしゃいますからね)

私は転職をしましたが、一度、上記のように校長先生や教頭先生に面談の際に話をしてみるのも良いでしょう。毎日のことですから、ストレスを抱えたまま教壇に立つと、生徒にその心情を見透かされてしまいますからね。

先生方がもらっている部活動手当についてまとめた記事もあります。

日々「教育」に関することを発信しています。他の記事ものぞいていってみてくださいね!

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いとこん

元中学校教員の いとこん です。営業、大学職員を経て、現在は DX コンサルタントとして働きつつ、ブロガーとしても活動しています。本ブログは、主に【教員の入口(教員採用試験対策)】【教員からの出口(転職ノウハウ)】【現職教員へのヒント】を自分の経験をもとに発信しています。

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